膝の痛みの原因



まずはどのような原因で膝の痛みが生じるかを知ることが、症状の悪化を防ぎ治すために必要です。何が問題であるかが分からなければ治療をしても同じ状態になってしまうためです。

膝の痛みの原因としては、まず加齢が挙げられます。高齢になると関節の動きをスムーズにする軟骨がすり減ってしまい、変形性膝関節症をはじめとした症状を引き起こしやすくなります。階段の上り下りが厳しくなり、普段の行動にも影響を及ぼす恐れもあります。

激しい運動も膝関節の痛みの原因になります。特に負担が大きいのはマラソンやジョギングのようなランニング、自転車、サッカー、野球、バスケットボール、バレーボール、登山といった競技があります。一流のスポーツ選手だけではなく、趣味で走っているだけでも、症状が現れるケースがあります。バランスよく筋肉が付いていないと、関節に衝撃が直接響くため、それほど激しい動きではなくても怪我をするケースがあります。

普通に歩いているだけでも、膝関節には体重のおよそ3倍の衝撃が与えられ、階段の上り下りでは体重の7倍の負荷がかかるとされています。走れば10倍と言われるものの、全力で動いている時の方向転換の瞬間のように大きな力が加わると、怪我の原因になりかねないのです。まして年齢によって筋力の支えが弱まると、普段の動作だけでも傷めてしまうのは、普段からこれだけ大きな荷重がかかっていることを考えると納得できるでしょう。

膝の痛みの症状と関節の水

運動の際に急激な痛みが膝に走る場合もあれば、加齢によって徐々に関節が悪くなり、階段の上り下りや正座をした時にだけ症状が現れる人もおり、継続する期間も一時的なものから長期的なものまで様々です。

さらに、曲げ伸ばしの際に音が鳴ったり、水が溜まって腫れが起きるケースもあります。こうした場合には、一度病院に行って診察を受けておくと安心です。膝関節にはどうしても負担をかけてしまうため、症状が悪化して歩くのにも不自由するようになっては大変です。

ちなみに、膝の水は抜くと癖になるという噂を聞いたことはあるでしょうか?実際には、水を抜く行為が問題なわけではなく、原因となっている炎症が治まっていないために、一度は水を抜いても再び溜まってしまうだけなので、特に心配は要りません。

ただし、膝の水は骨を守るための防衛反応でもあるため、むやみに抜いてしまえばよいわけではありません。腫れがひどくて我慢できないような場合を除けば、そのままにして水がなくなるのを待つのが原則です。

膝の痛みの症状に激しい腫れや水が伴う場合以外でも、長く続いていたり、症状がひどい時には放置しないことが大切です。同じように負担をかけ続けることによってますます靭帯や骨が痛んでしまう危険もあるので注意してください。

膝の痛みの治療

病院で治療を行う場合には、基本的に整形外科が担当となります。多く用いられる方法としては、リハビリテーションや装具療法、温熱療法、寒冷療法、薬物療法、手術があります。

まずリハビリテーションは歩けない方が行うだけではなく、膝関節の動きが悪くなっているところをストレッチによって可動域を広げたり、筋肉を強化して衝撃を吸収できるようにします。症状の状態によっては、曲げ伸ばしの訓練も行います。治療の中でも本人の努力と関与が求められます。

装具療法はサポーターや杖といった道具によって膝関節の負担を軽減するものです。一時的に装着して症状が安定するのを待つ場合と、長期的に使用する場合があります。

温熱療法はその名の通り患部を温める治療法で、身近なところではお風呂の湯船につかることや温シップを利用する方法があります。寒冷療法はこの反対で、膝を氷や冷湿布、アイシングスプレー等で冷やす方法です。一般に、慢性的な痛みには温熱療法、腫れや熱感があれば寒冷療法による治療が適切とされています。

薬物療法では軟骨の成分であるヒアルロン酸を用いたり、治療として炎症を抑えるためにステロイド剤を用いるほか、痛み止め(消炎鎮痛剤)の内服薬や塗り薬、貼り薬を用います。

症状が悪化すれば、治療として膝の手術を選択する場合もあります。人工関節を利用するケースもあり、手術後には劇的な改善が見られることもあるものの、できれば手術をせざるをえなくなる前に治療して回復させておきたいものです。

このように病院で受ける治療のほかに、膝の痛みを克服するために様々なサプリメントも販売されています。しかし、医薬品のように厳しい審査があるわけでもないため、玉石混合であるのが実態で、必ずしも症状が改善するとは限りません。

運動が膝関節に及ぼす影響

若い人であれば、関節の痛みを感じる原因は交通事故のような外傷を除けば、運動が関与していることが多い傾向にあります。ジョギングやマラソンをしている方はいわゆるランナー膝になったり、バレーボールやバスケットボールのようにジャンプの動作が多いスポーツをしているとジャンパー膝になったりもします。

ランナー膝にしろジャンパー膝にしろ、簡単に言えば原因は関節の酷使です。その競技に携わる以上、どうしても負担がかかってしまう部位であるため、必然的に傷めてしまいやすい場所なのです。そのため、練習や試合の前に十分なストレッチを行って体の柔軟性を高めておくほか、足の筋肉を付けて着地の衝撃を吸収できるようにしておくと予防になります。

マラソンのようなランニングの競技であれば、長時間に渡って両脚の膝に負荷を与え続けるため、痛みを感じてしまうのも無理はありません。筋力不足や不十分なウォーミングアップが重なればなおさらです。

ジャンパー膝の場合には、大きく飛び上がってからの着地になるため、大きな衝撃を膝関節に与えることになります。瞬間的に体重よりもはるかに大きな荷重がかかるため、ジャンプの多いスポーツは要注意なのです。

このほかに、長時間に渡って階段や坂道の上り下りを繰り返す登山や自転車も膝の痛みと関連の深い運動です。登山はともかく、自転車は意外かもしれません。しかし、実際に自転車が原因で傷めてしまっている方は多く、競輪選手のように特別な人ばかりではありません。サドルの位置を調整すると症状が和らぐ可能性があるものの、できればしばらく自転車に乗らないでおくのが一番でしょう。

無理に運動を続けると、最初は一時的な症状であった膝の痛みが慢性化し、悪化していく可能性があります。そうならないように、時には休息を取って安静にしておくのも大切です。積極的な治療ばかりではなく、単純に関節を休めるのも重要な対策なのです。

中高年に多い変形性膝関節症

筋力の低下や軟骨のすり減りによって炎症や変形が生じるのが変形性膝関節症です。特に50歳以降の女性に多い傾向があり、年齢のためと思って治療を行わずに放置されてしまっていることも珍しくありません。

加齢によって体が衰えていくのは仕方がない部分があり、時には痛みを感じることもあります。いくら丁寧にケアしても、若いときとまったく同じようにはいかないのも事実です。しかし、正しく治療や予防しておかないと、ますます悪化の速度が速まりかねません。

変形性膝関節症の進み方は個人差が大きいために一様にはまとめられないものの、一般に初期の症状としては朝に違和感を覚えやすく、中期になると痛みのために曲げ伸ばしに不自由したり、正座や階段の上り下りが辛くなったりします。水がたまったり、腫れやむくみを伴う方もいます。末期になると症状がさらにひどくなり、外出をはじめとした生活に支障を来たし、骨の変形が見た目にも分かるようになります。

原因としては加齢のほかに筋肉の衰えや肥満、O脚、ハイヒールの靴といったものがあります。また、慢性関節リウマチを持っている方や、膝関節のねんざ、膝蓋骨の脱臼が変形性膝関節症の原因になる場合もあります。

変形性膝関節症の検査としては画像診断としてX線撮影によって、骨の変形の程度を確認します。また、関節液検査によって状態の判定も行います。

症状が悪化して痛みがひどくなると歩くのも苦痛になり、どうしても外出する機会が減少して家に閉じこもりがちになります。それによって運動不足になるほか、気分もふさぎ込みがちになり、変形性膝関節症によって体力の低下や痴呆がもたらされてしまう危険性があります。脚は健康の基本と称されるように、やはり自由に歩ける状態を維持するのは、体を元気な状態に保つために不可欠な条件なのです。

膝関節の役割と構造

大腿骨と脛骨、膝蓋骨(いわゆる皿)との間にあるのが膝関節です。人体の中でも最も大きな関節であり、大きな負荷に耐えながら柔軟な動きを支えている大切な部分です。骨と骨が直接ぶつかってはすり減ってしまうため、表面は軟骨で覆われています。大腿骨と脛骨の間には半月板があり、クッションの役目を果たしています。関節全体を包んでいるのは関節包で、中は関節液に満たされており、潤滑油になっている他、軟骨に栄養を補給しています。

柔らかく、色々な方向への動きを可能にするために大きな役割を果たしているのは靭帯です。前十字靭帯・後十字靭帯・内側側副靭帯・外側側副靭帯の4つがあり、体重をしっかり支えながら、高度な機能を維持するためにこれらは重要です。この靭帯を損傷することで痛みが生じる場合もあります。

膝の曲げ伸ばしに関わっている筋肉や腱についても見ておきましょう。まず、曲げる際に使われているのは膝屈筋で、伸ばす際には大腿四頭筋と膝蓋腱がその役目を担っています。

軟骨がすり減ってクッションの役割を果たさなくなって骨が変形したり靭帯を損傷すると、痛みの原因となります。また、筋肉の弱まりも関節への負荷を強める要因の一つです。

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